今年の梅雨時期もシロアリの被害に遭った住宅が多く、家主にとっては悩みの種です。
どうして一向にシロアリ被害は減らないのでしょう。
生き物には必ずと言っていい程「天敵」というものがいます。
もちろんシロアリにも天敵がいて、敵を目の前にすれば、シロアリだって生きてはいけません。
どのような相手がシロアリにとって敵で、どんな生態をしてるのか・・・。
シロアリを知るには天敵の事も知っておいた方が、もしかしたらシロアリ駆除のヒントにもなるかもしれません。
今回の記事では、シロアリの天敵について詳しく挙げていきたいと思いますので、是非とも最後までご覧ください。
1,日本でのシロアリの天敵
身近なシロアリの天敵
シロアリというのは、知らない間に住宅やその周辺を食い荒らし、被害が広がる頃には、とても人の手には負えません。
そんなシロアリにもシロアリが嫌う天敵がいるはずです。
どんな相手がシロアリの天敵なのでしょうか?
詳しく説明していきます。
天敵その1「クロアリ」
意外なように思われるかもしれませんが、シロアリの一番の天敵とされているのが「クロアリ」です。
シロアリはものすごい数の団体行動で住宅などに大きな被害をもたらすのに、1匹ではとても弱い生き物です。
一番の天敵は「クロアリ」でクロアリに見つかれば最後で食べられてしまいます。
クロアリはシロアリを見つけると、団体で囲い込んで食べたり、自分の巣まで引きずり込んでから食べたりします。
シロアリの数が多くてもクロアリの威力は凄まじいものです。
対してシロアリは、抵抗は見せますが、クロアリを襲い返したりせず、今いる団体から離れる事もせず
ひたすらその場を守るといった感じです。
シロアリの特徴(ゴキブリの仲間)
- 女王アリを中心とした巣(コロニー)を作り、1つのコロニーには2~3万匹の団体で活動する
- 住宅を侵食する際は、2~3個のコロニーが見つかる事もある
- 主食は古い木で草食の昆虫
- 「アリ」と名前が付いてもアリではない
- 「財産害虫」といって建物や家具など、生活必需品、価値のあるものに対しての害がある害虫として分類される
クロアリの特徴(ハチの仲間)
- シロアリと同じく女王アリを中心としたコロニーを作る
- コロニーの中の数はシロアリよりも少なく、クロアリの種類によって違う
- 主食の種類は多く、シロアリをはじめ、人間の食べ物など様々
- シロアリは主食にする為に古い木々を好むが、クロアリはそこを巣にするために古い木々を好む
- 「不快害虫」といって、人体に直接害を及ぼすのではないが、たくさん集まると気持ち悪いなどの感情から、心理的な害を与える害虫として分類される
クロアリがシロアリの一番の天敵になる理由として、住む場所がとても似ていて近い事が挙げられる様です。
天敵その2「クモ」
クモもシロアリにとっては、自分が食べられる天敵と言えます。
クモは大きく分けて「徘徊型」と「造網型」という2種類に分かれます。
「徘徊型」
クモ自身が徘徊しながら、エサを見つけ捕食していく生態 屋内に多い
「造網型」
クモの巣を張り、その巣に捕まった昆虫などを捕食する生態 屋外に多い
クモは肉食でハエやゴキブリなど、人にとって害虫と言われるものも捕食してくれます。
クモ自身は「不快害虫」に分類され、たまに噛まれた・・なども聞きますが、基本的には人体に
害を与える害虫ではありません。
(セアカゴケグモ・毒グモ等、一部を除く)
クモはシロアリが大好物で、徘徊型のクモがシロアリを見つけると、積極的に捕食していきます。
また、クモの巣を張るタイプのクモは、飛んできた羽アリがクモの巣に捕まると、捕食します。
どちらのクモにとってもシロアリは大好物なので、シロアリにとって天敵となってしまいます。
天敵その3「その他の生物」
シロアリにとって天敵となる生物は他にもいます。
たくさんいますが代表的なものをご紹介していきたいと思います。
- カエル
- ヤモリ
- トカゲ
- 蛇
- もぐら
- つばめ
などです。
シロアリというのは、とても栄養価が高く、なおかつ、攻撃性も低い弱い昆虫の為、肉食性の生物たちにとっては格好の餌になりやすいと言えます。
ペットショップで売られている昆虫や爬虫類たちの餌としてシロアリが準備されている場合もあり、昆虫たちが体が弱って元気がない時などは、いつもの餌をシロアリに替えたり、シロアリを足してあげたりすると、見違えるほど元気になるそうです。
2,海外のシロアリの天敵
シロアリは世界中にいて、もちろんシロアリを食べる動物も存在します。
海外では日本と違って、シロアリを食べるのは、昆虫や爬虫類というより、大きな体をした動物の方が多いです。
シロアリを主食にする動物たち
「オオアリクイ」
シロアリを食べると言えば、とても代表的な動物です。
シロアリの他にもアリを主食にしています。
アマゾンなどの熱帯雨林に生息する動物で、長い舌が特徴的です。
まさにシロアリを食べる為の舌と言っても過言ではありません。
シロアリの最大の特徴である、数万匹での行動というものがありますが、その数万匹を一度に食べる事が出来ます。
蟻塚があり、そこには相当な量のシロアリがいるので、1日にだいたい3万匹位は捕食すると言われています。
シロアリはだいたい2~3万匹のコロニーを作るので、シロアリ被害に遭っている住宅に是非とも来てほしい動物です。
「アードウルフ」
ハイエナの仲間です。
虎模様をしたハイエナという感じの動物で、アフリカ大陸に生息しています。
ハイエナというと肉食のイメージですが肉などの他に昆虫や果実などを食べる雑食性です。
アードウルフもシロアリを主食にしていて、シロアリの匂いや、移動時のかすかな音などを嗅ぎつけるなど、シロアリを見つける才覚は抜群です。
「ツチブタ」
アフリカの森林地帯や、草原などに生息する動物で、豚ではない哺乳類です。
ツチブタも歯がとても頑丈で、シロアリの大群でも簡単に擦りつぶして食べてしまいます。
この様に日本でも海外でも、シロアリの天敵になる昆虫や動物たちがたくさんいます。
天敵になる生き物は多種に渡るので、シロアリの命はいつも危険にさらされています。
3,まとめ
シロアリの天敵と駆除
シロアリに天敵がいる事が分かれば、この天敵たちの力を借りて、シロアリ駆除をしたくなる所ですが、なかなかそうもいきません。
それにはやはり、シロアリが生息している環境や生態が大きく関係していると感じます。
- 土の中や床下での生息で他の昆虫の目に触れない
- 移動も蟻道という土で作ったトンネルの中
- 繁殖力の凄さ
- 1つのコロニーの中の数の多さ
そういった理由から、天敵がシロアリを見つける事が難しかったり、捕食したとしても、完食できず放置する事になるので、シロアリが繁殖するスピードの方が先になってしまいます。
そして、シロアリ駆除だけの為に、天敵となる昆虫たちを飼育するなどで、昆虫たちとの共存には、かなりの抵抗を感じるものです。
天敵がいる場所はシロアリがいる場所?
では、シロアリがいるかどうかの目安として、シロアリを好む昆虫たちがいれば、そこにはシロアリがいる可能性があるのでしょうか?
答えとしては「可能性はある」と言えると思います。
つばめなどは羽アリが発生しやすい梅雨前後の時期に羽アリを探して、その場所に集まる事があります。
クモやカエルなど住宅周辺で1匹や2匹見かけるというのではなく、かなりの数で増えた時など、餌となるシロアリを求めて増えている可能性もあると言えます。
クロアリの活動が活発になりやすい6~7月あたりから、以前は見かける事がなかった家の中でクロアリをたくさん見る様になった・・・など
肉食性の昆虫なら、シロアリ以外にも餌とするものがあるでしょうから、一概にシロアリを求めて来ている・・・とは言えませんが、早い段階で、シロアリの繁殖を疑ってみるいい機会ではないでしょうか。
今回はシロアリの天敵について記事にしてみました。
もちろんシロアリを餌にする昆虫や生物が住宅にいるからといって、必ずしもシロアリが発生しているとは限りません。
ただ、シロアリが被害をもたらす住宅の床下などは、住人が確認したくても、なかなか簡単にシロアリの存在を確認できる場所ではありません。
外壁にシロアリが蟻道を作ったとしても確認しずらい事も多く、駆除業者が来て初めて見つける事も少なくないものです。
天敵たちがいたら・・・というよりは、
- いつも以上に数が多い
- いつもと違う場所に集まっている
- いつも見ない昆虫なども集まってきている
などはまだ分かりやすい目安かもしれません。
いつもと違う違和感を感じるためには、普段から住宅周辺の観察もとても大事になってきます。
お家の周辺で天敵と言われる昆虫たちを見かけたら、シロアリの存在も一緒に考えてみて下さい。