↑施設周辺に置かれた木材でできた建具
シロアリはどこに発生するイメージが強いでしょうか?だいたいが家の床下や柱といった特定の箇所でしょう。シロアリの発生で一番多いのは、やはり床下、、特に木造住宅の床下です。発生したきっかけは最初から住宅の床下にいた場合と、住みやすい場所を求め、他から移動してくる場合と大きく分けて2通りのパターンがあると考えられます。ではもし、移動してくる場合、一体どこからやってくるのでしょうか?どこに生息していて、どんな場所やものを好むのか・・今回はシロアリの生態を元に記事にまとめ、シロアリが発生しにくい環境作りができる様に繋げていきたいと思います。
目次
- シロアリの生態
- シロアリの移動形態
- シロアリを発生させにくい環境作り
シロアリの生態
↑シロアリ画像
シロアリがどんな姿をしていて、何を餌にし、どんな場所を好んで生息しているのか?シロアリについてはあまり知られていない様に感じます。もしお家でシロアリが発生し、大群で見かければ別ですが、数匹程度羽アリなどを見つけても、誰が見ても分かるゴキブリなどに比べて、危険さや気持ち悪さも感じにくい事から、自分で退治する事はほとんど無いのではないでしょうか。シロアリの種類は様々で、特に地域性があり、同じ日本でも住んでいる場所によって、生息しているシロアリの種類も変わってきます。まずはご自身の住んでいる地域に、どのシロアリが多いのか知る事が大事です。
地域毎のシロアリの種類→https://luft-tco.com/useful-info/shiroari/166.html
シロアリの生態として、ここでは2つのポイントを紹介していきます
シロアリの生息しやすい場所
シロアリにも歴史があり、それは人間よりも遥かに古いものになります。もともとシロアリは大昔から、大自然の山林に住む生き物です。
土壌の中
シロアリ(羽アリ以外)は目が見えず光を嫌います。体自体も表面が薄くて日光や風にさらされると死んでしまったりします。シロアリは非常にもろい生き物ですので、外敵から身を守る意味もあり、土壌の中に生息します。
古い木
古い木自体がシロアリの好む餌となり、適度に水分を含む事から古い木に生息します。
シロアリの自然界での役割
実はこの「古い木」というのが重要なカギとなりますが、役目を終えつつある古い木に住み、その木や枯れ葉などを餌にする事で、周りの若い木の栄養とし次に繋いでいます。住宅などにとっては非常に厄介な存在ですが、実際に被害をもたらすシロアリは世界でいえば、約2000種類中50種類ほど・・日本でいえば、約20種類中4~5種類ほどのほんの一部です。なので自然界では今でも生態循環の役割を担う欠かせない存在なのです。山林へ入るとひんやり涼しく、地面は適度に水分を含みます。もともとそういう場所に住む性質ですので、直接日光を浴びない、湿気が多い、古い木材がある・・などの場所こそシロアリが最も快適に暮らせる場所となっていきます。
【シロアリが嫌う木】
シロアリは大抵の木なら何でも食べますが、好き嫌いがあり、嫌いな木を「硬さ」と「匂い」で判断していると考えられます。
硬い木
食べやすさで柔らかい木を好むのできっちり目の詰まった硬い木を嫌う傾向にあります。代表的な木は「ヒバ」「ケヤキ」「スギ」「ヒノキ」などです。
匂い
特に若い木から放たれる「フィトンチッド」という成分を嫌います。私たちが新築住宅に入った時にいい匂いと感じる木材独特のあの匂いです。基本的には強い匂いのする木を嫌うので精油でも代表的な「ヒノキ」「ローズウッド」などを嫌うようです。
シロアリの餌となるもの
古い木材・柔らかい紙類
古い木に住む事から分かる様に、餌は古く柔らかい木材を好みます。シロアリが木を餌にする理由は、木に含まれる「セルロース」という成分を栄養源とするからです。
セルロース
セルロースとは、「食物繊維」の一種で、その中でも水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に分類されます。少し難しいですが構造でいうと、米、パン、麺類などの三大栄養素の1つ「炭水化物」となります。つまり、体の中では消化されにくい炭水化物ということです。保水性に優れていて、体内(腸内)で水分を含むと膨らむ特徴も備えています。便秘解消に食物繊維がいいと言われるのはその為でもあります。
セルロースが含まれるもの(食品)
- 野菜(ごぼう、大豆、穀物など)
- 食品添加物(一部の乳製品やゼリー、ドリンクなどにも使われる)
セルロースが含まれるもの(食品以外)
- ラッカーなどの塗料
- マニキュアなどの一部の化粧品
- セロハンフィルム
- コットンの繊維
- 衣料品(レーヨン生地)
- 布製品
- 紙製品
このように、私たちにとってかなり身近なものにセルロースが使われている事が分かります。シロアリがセルロースを栄養源にしているという事は、これらの製品も餌になり得るという事です。もちろん他の成分も含まれるので全てではありませんが、餌となりやすいという点で注目したいのは「紙製品」や「布製品」です。
部屋に古い衣服や布団、段ボール、新聞紙などがまとめてあったりする事が結構多いと思います。特に新聞紙は使い様がたくさんあるので捨てずに置いておく事も多いのではないでしょうか。実際に床下でシロアリが発生した事に気づかず、結果放置した事によって、家の中の柱にまで被害が拡大し、その部屋にあった新聞紙や広告までも餌になったという事例があります。シロアリは餌になるものを探す能力が高く、しかも餌場まで、仲間を呼び寄せる事も早くて上手です。段ボールや新聞紙などは紙製品の中でも柔らかく、湿気も含みやすいのでシロアリの餌になりやすいと言えます。
シロアリの移動形態
↑住宅に伸びるシロアリの蟻道
シロアリがもし他の場所からやってくる場合、どうやって移動してくるのでしょうか?シロアリの移動の仕方は非常に変わっていて、「蟻道」(ぎどう)というシロアリ専用のトンネルの様な道を作り、その中を移動してくるのです。
蟻道→土や木材の小さな欠片などとシロアリ自身の分泌物とを合わせて作る道の事です。とても強固に作られていて簡単に手では壊せません。移動の為にわざわざ道を作るのですからシロアリにとっては自分の身を守る大事なライフラインという事です。
見た目は土が固まってできたトンネルの様な形をしています。この蟻道は「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」では作る形が少し違います。
特徴 | |
ヤマトシロアリ | 細長く伸びる道の様な形。壊れにくい |
イエシロアリ | 太くい大きく横に伸びている事が多い。壊れにくい |
「蟻道」に似たものを作る他の昆虫
シロアリ以外にも蟻道に似たものを作る昆虫がいます。違いを知れば見つけても慌てる事がありません。
クロアリの蟻道
クロアリも同じく道を作ります・・が、クロアリの蟻道は「柔らかい」のが特徴です。木くずで作る事が多いので、触れば割とすぐに壊れてしまいます。
クモの巣
「地蜘蛛」と言われるクモの巣は長さ約10センチほどの筒状の形をしていて、本来は白いクモの糸でできた巣ですが、そこに土が被り、茶色い木の枝の様に見えます。クモの巣ですので、触るととても柔らかいです。
動画あり→株式会社ルフト インスタグラム【luft_kusatsu】
ハチの巣
「ドロバチ」というハチの種類で、住宅なら外壁のくぼみ、木材などにも巣を作ります。泥と土で作るので、結構頑丈で、一見シロアリ蟻道と見間違える事があります。
最近多いシロアリによる「断熱材」の被害
最近の住宅では、より快適な家にするために、高気密・高断熱の住宅が増えています。断熱材を施す場所も外側や内側や基礎などの違い、使われる素材も様々です。断熱材のメリットはとてもたくさんあるので是非とも取り入れたいところですが、もしシロアリが断熱材に到達してしまうと餌になってしまうかもしれない可能性や、蟻道を作らなくても簡単に移動できてしまう可能性も出てきます。そういった理由から断熱材の被害が新築時でも報告されていたりします。人が住みやすい住宅の温度環境はシロアリにとっても快適なようです。
シロアリを発生させにくい環境作り
シロアリが好む環境や餌、移動手段などが分かれば、住宅周辺の環境も整えやすくなってきます。
【シロアリが発生しにくい住宅周辺の条件】
- 住宅の周りに段ボール、古い木材を置かない
- 雑草は抜き、特に家の基礎付近などは光や風通しを良くする
- 通気口付近にプランターを置かない
- 雨漏りを放っておかない
- 雨ざらしのところに木材を置かない
- 家の中も風通しを良くする
- 家の中も外もできるだけ光を取り入れる
- ウッドデッキは必ず防腐対策をする
- ウッドデッキは定期的に塗装する
【まとめ】
家の構造が木造であるとか、日当たりが悪いなどは、どうする事もできない事ですが、小さな心がけだけで、かなりシロアリ発生を予防できるものです。投稿者の家も気持ち程度のベランダスペースがありますが、地面は土になっていて草はすぐ生い茂るし、以前からコンクリートを敷きたいと思っていますが、なかなか簡単にできる事ではありません。やはり住宅にかけるお金というのはDIYでさえ高くつくものです。なのでたまにプランターの位置を変えてみるなど、すぐにできる事をやる様に心がけています。住宅の周辺は見晴らしを良くしておくのがとても効果的と思います。それはシロアリだけでなく、他の害虫発生予防にもなるので一石二鳥です。是非ともシロアリや害虫に嫌われるお家になってほしいと思います。