シロアリの駆除のために業者に頼んだ費用は、確定申告で控除対象になるという話を聞いたことがありませんか?確定申告することで、金額によっては払い過ぎた分の税金が還付される可能性もあるのです。
この記事ではシロアリ駆除が雑損控除になる理由や、雑損控除を受けられる条件、控除額の計算方法を解説します。また確定申告の手順などもまとめているため、シロアリ駆除を業者に依頼するか考えている方は、ぜひ参考にしてください。
シロアリ駆除は雑損控除になる
結論として、シロアリ駆除を業者に依頼した場合、その費用は雑損控除の対象になります。
シロアリによる被害は、所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります。
引用:シロアリの駆除費用 国税庁 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/01.htm
このように、シロアリは「害虫その他の生物による異常な災害」に該当し、震災や落雷などの自然災害と同じく、住宅に著しい被害をもたらすものとして扱われているのです。
シロアリ駆除は雑損控除になるため、年末調整では申告できません。別途、確定申告をするために、駆除をした翌年の申告期間中に書類の提出が必要です。
雑損控除を受けられる条件
雑損控除を受けられる条件は次の通りです。
(1)資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者(2)棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。 引用:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の方
これは納税者自身が所有している家であるか、納税者と一緒に生活している家族の総所得金額が48万円以下であることが条件です。
納税者自身が所有する家なら、所得制限はありませんがその親族や配偶者が申告する場合は、総所得金額が48万円以下である必要があります。
雑損控除に含まれる費用は?
- シロアリ駆除費用
- 食害を受けた建材や家具の修繕費
雑損控除となる費用は、シロアリ駆除の費用を業者に依頼した場合のみです。
また、雑損控除として申告できるのは、業者に支払った費用だけでなく、被害を受けた建材、家具の修繕費も含まれます。もしシロアリ被害によって、床が腐ってしまった、天井板が破損したといった、一部リフォームが必要になれば、この建材部分も控除対象です。
生活に必要なクローゼット、衣類が被害に遭い、新しく購入した金額も控除の対象として申告できるため、忘れずに領収書を保管しておきましょう。
控除対象外になってしまうシロアリ関連の費用とは?
シロアリ駆除のための薬剤などを購入し、納税者自身が駆除作業を実施した場合は、雑損控除の扱いにならないため十分注意しましょう。
また、気をつけたいのは業者に依頼した場合でも、シロアリ被害の予防のための薬剤散布などは、すべて雑損控除の対象外になること。
あくまでも、雑損控除はシロアリという害虫被害を受けた結果、支払った費用の控除です。つまり、予防はたとえ業者による作業だとしても、現時点でシロアリの被害を受けていない扱いになるため、申告しないよう注意しましょう。
業者に駆除と予防を同時に依頼した場合は、駆除費用分と予防にかかる費用を分けて明細に記載してもらうことも忘れないでください。
雑損控除は最大3年間の繰越が可能
雑損控除をシロアリ駆除した翌年に申告できなかった場合も、最大で3年間の繰り越しができるため安心です。
たとえば、シロアリ駆除を実施した年から翌年以降最大3年間まで繰り越せるため、もし2年前や3年前に、シロアリ駆除を依頼していても、さかのぼって申告可能です。ただし、それまでの数年分の確定申告書類が必要になるため、書類を用意する時間がかかります。
控除を早く受けるためにも、シロアリ駆除をした翌年の確定申告期間中に申告することをおすすめします。
雑損控除できる金額の計算方法は?
- 差引損失額−総所得金額等×10%
- 差引損失額のうち災害関連支出の金額−5万円
雑損控除の金額は、上記のうちいずれか多い方で決定されます。
たとえば、業者に支払った費用が10万円、建材を使った修繕が必要で10万円の修繕費がかかったのなら
- (駆除費用20万円+修繕費20万円)-(総所得額300万円×10%)=10万円
- (駆除費用20万円+修繕費20万円)-5万円=35万円
この場合は、下の計算式による35万円が控除できる金額として申告可能です。
損害金額になる対象物、具体的な金額の細かい計算は、国税庁の公式サイトに掲載されているため、正しく計算したうえで申告しましょう。
参照:Ⅰ‐2 雑損控除の適用における「損失額の合理的な計算方法」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0018008-045/01-2.htm
シロアリ駆除費用を確定申告する手順
シロアリの駆除費用を雑損控除として申告する場合の手順をご説明します。
必要なものや期限などを把握したうえで、早めに準備を進めておきましょう。
1.申告に必要な明細書・領収書をまとめる
確定申告はシロアリ駆除を業者に依頼したことを証明するために、災害にかかった金額の領収書がすべて必要です。
主に次のような書類を申告までに用意してください。
- 業者にシロアリ駆除を依頼したときの明細書
- シロアリ被害部分を修繕したリフォーム代の明細書
- シロアリ被害を受けた衣類・家具類を買い替えた時の領収書
このような領収書、明細書がなければ控除が受けられません。確定申告するまでに、忘れずに保管しておきましょう。
駆除費用をおさえて還付を受けるには、領収書や明細書を駆除用と予防用に分けて発行してもらうことをおすすめします。事前に業者に相談しておくことで、後に申告の際に改めて領収書の発行が必要になるといった、トラブルの予防につながります。
2.給与所得の源泉徴収票を用意する
シロアリ駆除に関連する明細書だけでなく、会社員などで給与所得を受けている場合は、会社からもらう源泉徴収票が必要です。これは給与所得を証明するために、原本が必要になります。
年末に源泉徴収票を受け取ったら、明細書とともに保管しておきましょう。
3.確定申告書か還付申告書を作る
雑損控除は、確定申告か還付申告のいずれかで申告可能です。ただし、手続きする時期が次のように異なります。
- 確定申告:駆除した翌年の2月16日~3月15日(年によって多少の変動あり)
- 還付申告:駆除した翌年の1月1日から5年間
確定申告と還付申告はどう違うのか、どんな人におすすめなのか、条件などの違いは次の通りです。
確定申告による雑損控除
確定申告は1年間の所得を提示し、納める税金額を報告する手続きです。確定申告書の雑損控除の欄に、シロアリ被害による損害を記載しましょう。
そのうえで、明細書、領収書の必要書類を一緒に提出します。
なお、確定申告による還付は税務署の混雑によって多少変動しますが、早ければ1~2カ月後には受け取れます。もちろん会社員であっても、社会保険料や住民税などの既に支払った額に対して、シロアリ駆除の雑損控除の金額が大きければ、還付金を受け取れる可能性は十分にあるのです。
還付申告による雑損控除
還付申告は源泉徴収額が多すぎるときや、雑損控除を受けたいときに申告するものです。確定申告書と同じく、雑損控除の欄にシロアリ被害を記載して、税務署に提出しましょう。
個人事業主など確定申告の義務がある人は、そのまま確定申告書での提出がおすすめです。一方、還付申告は納め過ぎた税金の還付が目的です。
そのため、年末調整の後に本来よりも多く税金を支払った場合、会社員が翌年の1月1日からシロアリ被害の雑損控除を申告する扱いになります。
会社員の場合はどちらでも問題ありませんが、申告時期や必要書類が異なるため、どちらを選べばいいのか分からない際には、近くの税務署に問い合わせてみましょう。
まとめ
シロアリ被害による駆除費用は、数十万円になることもめずらしくありません。だからこそ、少しでも雑損控除によって還付を受けられれば、その分費用の節約につながります。
ただし、気をつけたいのはシロアリ被害を業者に依頼した場合と、生活用品、建材などの被害が控除の対象になることです。
予防の部分や、自分自身でのDIYによる修繕、薬剤散布は、雑損控除として申告できないため、プロの業者に依頼しましょう。業者のシロアリ駆除は施工後の保証期間もあり、シロアリ専用の薬剤散布や、侵入経路の遮断など、プロだからこそできる駆除方法です。
ルフトシロアリ.comでは、大阪・京都・滋賀などの関西圏にて、プロによる徹底したシロアリ駆除を行っております。シロアリ被害かもしれないといった不安があれば、まずは無料調査、見積もりだけでもお気軽にご相談ください。