最近は特に、ネット通販や至るところの店舗で「昆虫食」を見かけます。
日本には昆虫を食べ物として捉える文化がないので、抵抗ある人の方が多いと思います。
現在の恵まれたこの国にいると「食べ物がない」という問題には、あまり直面しないと思いますが、世界はとても広く、知られていない事も多い中の1つに「食糧危機」という深刻な問題があります。
ほぼ世界中に昆虫はいますので、もし昆虫を食糧に出来たとしたら、世界の食糧危機で苦しむ人達も減少する可能性は十分あります。
1,どうして今、昆虫食が注目されているのか
これは小学校などの掲示板によく張られているポスターです。
昆虫食が話題になっているのには、単なる珍しさや流行りという事ではなく、学校でも教えていかなければならない問題「食糧不足」の問題が大きな課題としてあるからです。
世界の食糧危機の現状
日本では食糧危機とは程遠く、逆に食糧が余り、捨てているのが現状です。
それに比べて、世界では今でも食べ物に恵まれず、栄養失調になったり、餓死している人がたくさんいます。
食糧不足に苦しむ人たちの数 およそ8億人(約9~10人に1人)
食糧不足に苦しむ国・地域 アジア・アフリカに多い
食糧不足で犠牲になるのは 7割が子供
食糧危機に陥る理由
「食糧」=「主に炭水化物・タンパク質・脂質のエネルギーになる食べ物の事」
その量というのは、実は全世界の人口分がちゃんと賄えています。
ではどうして約8億人もの人達が飢餓で苦しむ事になるのでしょうか。
- 食糧がまんべんなく行きわたっていない
- 食糧を生産できる季節が限られている
- 食糧の保管ができない
- 貧困により、輸入による商品の調達ができない
など、一時的な自然災害などで、食糧の調達ができない以外に、長年に渡る国自体の発展という問題が大きく関わってきます。
一方、世界の国々では反対に食糧が有り余っていて、捨ててしまっています。
期限切れや売れ残りの商品を、まだ食べられるのに破棄する事を「食品ロス」と呼びます。
この食品ロスというものに関して、日本でいうと、飲食店から家庭内まで、1年間に約60万トン
1人1日1回お茶碗1杯分の食糧を捨てている計算になります。
このように、全世界でいうと、食糧は足りてるのに、一部は足りず、一部は余っているという状況も食糧危機の大きな問題となっています。
2,昆虫食とは
この長年の食糧危機の解決策の1つとして
カブトムシやセミ、コオロギなどの昆虫、シロアリを食べる「昆虫食」が考えられる様になりました。
特に2013年に国連による昆虫食推奨の発表があってからは、大きく取り上げられる様になってきています。
昆虫食のメリット
- 栄養価が高い
「食糧」=エネルギー源とするものです
昆虫食はタンパク質が豊富なので、肉や魚と同様の役割を果たしてくれるという事になります。
他にも、鉄分やマグネシウムなどの栄養も含まれています。
2.飼育環境が容易
牛や豚などの畜産の
飼育に時間がかかる
飼料が大量に必要
飼育する場所の確保
などの条件が昆虫だと容易に済みます
3.地球環境にやさしい
牛や豚などを飼育する際、地球温暖化の原因の1つとされる「温室効果ガス」の発生が問題視されています。
人口増加と所得向上からの畜産物(牛・豚・鶏などの肉・加工品)の需要がこの先もっと上がっていくと予想され
ていて、それに比例して環境問題への取り組みももっと必要になってきます。
その点昆虫飼育で発生する温室効果ガスの量というのは、畜産の約100分の1の量だと言われています。
昆虫食のデメリット
日本人は特に昆虫を食べる習慣がほぼないので、やはり「見た目」でどうしても抵抗を感じるところが一番のデメリットだと思います。
他にも
- アレルギー
昆虫にもアレルギー物質が含まれています。
「トロポミオシン」という物質で、蕁麻疹や嘔吐、喉の痒みなど、症状は色々あります。
甲殻アレルギーといって、エビやカニのアレルギーと同じです。
ただ、十分な加熱処理をすることにより、アレルギー症状が出なくなると言われています。
完全ではありませんが、エビがお菓子に含まれても、アレルギー症状が出ない事が多いのがいい例です。
- 食中毒
魚や肉にも起こり得る事ですが、生き物ですので、生食では菌などから、食中毒を引き起こす可能性があります。
3,昆虫食の種類
昆虫食になり得る昆虫の種類
ではどの種類の昆虫が昆虫食になっているのでしょうか。
そして昆虫とはどの虫の事を指すのでしょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/昆虫
簡単な見分け方としては、足の数にある様です。
クモやミミズ、ムカデなどは虫ですが、昆虫の部類には入りません。
イメージ的にも、子供が虫取り網で採りに行く様な、あまり危険を感じない虫に多いです。
ですが、昆虫食として扱えない昆虫もたくさんいます。
それは
「猛毒を持つ昆虫」「猛毒を持った昆虫を食べる昆虫」の種類です。
昆虫は雨の降らない砂漠や、南極大陸以外なら、大抵の場所に生息しています。
世界で約100万種類も見つかっており、地球上にいる生き物のほぼ7割を占めています。
世界でも約2000種類ほどの昆虫が食用となっていて、ある程度の昆虫なら昔から食べられている様です。
昆虫食になる代表的な昆虫は
カブトムシ
クワガタ
コオロギ
イナゴ
ハチの子 などです。
昆虫食の種類
昆虫食としての種類はどんなものがあるのでしょうか。
最近、売り場などに出ている昆虫食には、たくさんの種類があって、食べやすい様に工夫されたものが多いなと感じます。
・お菓子やおつまみ
食用のコオロギなどを粉末状にし、お菓子やおつまみに入れてあるタイプの食品です。
昆虫の姿が分からない事、含有量を控えめにしてある事、濃い味付けにする事で、抵抗なく食べれる様になっています。
抵抗のない人は昆虫をそのまま乾燥させた干しエビの様なお菓子なども出ています。
これらは、災害時などの食糧の供給になる様にも考えられています。
・麺類
麺に食用のコオロギが練りこまれています。コロナ渦などで、小麦の供給が減ったりした事や、外食から離れた時期にも考えられた昆虫食です。
・炭酸飲料
昆虫エキスを使い、炭酸飲料として作られた昆虫食です。お酒などにも使えます。
・プロテイン
タンパク質が多い事から、筋肉作りに欠かせないプロテインに粉末などの細かい状態で使われます。
・イナゴの甘露煮などの古くからあるおかず
郷土料理にもなっているイナゴの佃煮などの昆虫食は、海産物が採れない地域性から、重要なたんぱく源として古くから根付いています。
4,今後の昆虫食への期待と可能性
昆虫食でどれだけの人を救えるか
昆虫食ができたからといって、すぐに食糧不足で苦しむ人が助かるかと言えば、それは難しいと思います。
でも調べていく内に、古くから、世界各国で様々な昆虫が食糧とされている事が分かりました。
日本では、魚を食べるのが普通でも、他の国からすると異常な事だと考えられる事もある様です。
古くから文化として存在することなので、どれが正解などもないと思いますが、今回の昆虫食も、そう考えてみれば、特別な事ではなさそうです。
売り場でコオロギが形のまま食べ物として並ぶのを見ると、とてもインパクトが強く、認知度が上がると思います。
「どうして昆虫食が売られているのか」という事から、深刻な食糧危機が続いているという認識が広がる事が大事なのだと思います。
それが食品ロスを無くす事や、他の食品と並ぶくらい、昆虫食がもっと身近な食糧となる研究が進んだりすることに繋がるのだと思います。
昆虫は場所を選ばず、どこにでもいてくれて、地球上の7割を占めるので、身近な食品になってくれれば、犠牲になる子供も減っていくと思います。
昆虫はとても大きな可能性を秘めていると思います。
これからの昆虫食と日本
イナゴの佃煮の様に日本にも既に、昆虫食の歴史がありました。
日本の調味料として代表的な「醤油」は大豆から作られますが、同じタンパク質として昆虫から作られる醤油もこれから出てくるかもしれません。
いくら食糧が余っていても、輸入に頼っている部分も多く、農家も減少しています。自然災害やその他の人害も含めて食糧の自給率を考えると、この日本でも食糧危機が来る可能性は十分あり得ます。
今の食糧にプラスして、上手に昆虫食を取り入れていけたらいいなと感じます。